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蒸溜所へ訪れた気分になれる 『ポイトテーハ』

記事掲載元:BAR TIMES(https://www.bar-times.com/contents/83381/

保志 綾(Bar Dealan-Dé/東京・西麻布)

 

2019年10月、六本木ヒルズにオープンしたグレンモーレンジィのポップアップバー「グレンモーレンジィ ハウス」で提供するカクテルとして「ポイトテーハ」は誕生した。繊細でエレガントなグレンモーレンジィ オリジナルのフレーバーを引き立たせる一杯は、先日開催された「東京カクテル7デイズ」でも好評を博し、リピーターも多いという。そのまま飲んでも充分に美味しい“完璧すぎるウイスキー”を保志 綾 氏(Bar Dealan-Dé/東京・西麻布)はどのように調理したのだろうか。


アールグレイティーと豆乳がレシピのポイント

グレンモーレンジィ蒸溜所へ訪れるために一人でスコットランド・ハイランド地方へ向かった保志氏は、グレンモーレンジィの最高蒸留・製造責任者、ビル・ラムズデン博士の案内で蒸溜所を見学した。その3か月後、先述のポップアップバーでオリジナルカクテルを披露することになる。

「大人のキリンと同じ高さといわれるスコットランドで一番背の高いポットスチル、2回までしか使わないというグレンモーレンジィの特別な樽“デザイナーカスク”などを実際に目にしたとき、蒸溜所へ行った気分になれるカクテルを作りたいと強く思いました。繊細なグレンモーレンジィの味わいを壊さず、活かせるようなレシピをと考えていたら、ふと紅茶が思い浮かんで。というのも、スコットランドで毎朝紅茶を飲んでいて、グレンモーレンジィのフローラルさやフルーティさ、バニラ香が紅茶に通じるのではと気がついたからです。華やかな印象のグレンモーレンジィにマッチするよう、アールグレイの中でもオレンジの果皮、ブラックカラント、ヤグルマギク、マリーゴールドがブレンドされたものを選んで、それにチョコレートリキュールと豆乳、メープルシロップを加えました。牛乳などの動物性ではなく植物性の豆乳を使ったのもレシピのポイントで、グレンモーレンジィのフレーバーを消さないよう工夫しています。出来上がったレシピをビル・ラムズデン博士に送って、名前を付けて頂けませんかとお願いしたらゲール語でティーポットを意味する『ポイトテーハ』と命名されました。きっと、アールグレイティーが入っているからでしょうね。とても嬉しかったです」

 

グレンモーレンジィ蒸留所は、スコットランド・ハイランド地方に1843年に設立された。

グレンモーレンジィのおかげでキリンが好きになったという保志氏。この日も、キリン柄の蝶ネクタイをしていた。


 

「カドボールストーン」の模様をココアパウダーで表現

「カクテルの表面にココアパウダーで振りかけた模様は、グレンモーレンジィの全ラベルにあしらわれている“シグネットマーク”を切り取ったものです。このグレンモーレンジィのシンボルともいえるマークのもとになっているのが、蒸溜所の近くにある遺跡『カドボールストーン』。残念ながら訪れることはできなかったのですが、現地のグレンモーレンジィハウス(宿泊施設)でのディナー前にロックスタイルのカクテルが出てきて『あっ!』と。氷の表面に、カドボールストーンが刻まれていたんです。そのシンプルな存在感にインスパイアされて、自分のカクテルにも取り入れようと考えました」

凝った演出や派手なデコレーションではなく、シンプルにグレンモーレンジィを感じてほしいーー。保志氏の蒸溜所におけるさまざまな体験が「ポイトテーハ」を生み出した。また、同じくグレンモーレンジィ オリジナルで作る「ファイヤーハイボール」も人気で、仕上げに火を使ってオレンジオイルをグラスに飛ばす工程も見もの。こちらもシンプルな手法だが、飲む人だけでなく周りにいる人もオレンジとグレンモーレンジィが織り成す香りに包まれる幸せなカクテルだ。そんな2つのカクテルを通じて、ベースのウイスキーに関心を寄せるお客も多いという。

 

専用のプレートをグラスの上に置き、カカオパウダーをかけることでカクテルの表面に描かれるシグネットマーク。柄はもう1パターンあるのだとか。

ライターを着火させ、オレンジオイルが入ったアトマイザーをシュッと吹きかける。燃え上がる火と共に、オレンジフレーバーが広がる「ファイヤーハイボール」の仕上げだ。

 

グレンモーレンジィじゃないと、ポイトテーハは完成しない

二十歳でバーテンダーを始めた保志氏は、当初ウイスキーが飲めなかった。ところが、初めて参加したセミナーでラムズデン博士に出会い、自由な発想による実験的なウイスキー造りに興味を持つ。その会場で試飲したのが、グレンモーレンジィ。初めて美味しいと感じ、その後保志氏にとって愛着のあるウイスキーになる。

「今までにない、グレンモーレンジィのカクテルを作りたいと思いました。他店でも飲んで勉強させて頂きましたが、グレンモーレンジィにレモンや柚子など酸味系の材料を合わせるレシピが多かったので、私は異なる方向の味わいを目指そうかなと。ただ、甘味が強いとグレンモーレンジィの味わいが消えてしまいます。グレンモーレンジィのオレンジ香やバニラ香に寄り添うような材料は何か、バランスも考えて試行錯誤しました。ウイスキーカクテルの中には、銘柄指定がないものも多いですよね。でも、ポイトテーハはグレンモーレンジィでなければダメなんです。ブレンデッドでも、ほかのシングルモルトでも作れない。グレンモーレンジィだからこそ、この味わいになります」
生産者の顔を思い浮かべながらウイスキーを注ぎ、カクテルを作っているという保志氏。ポイトテーハには、グレンモーレンジィが欠かせない。

 


ポイトテーハ レシピ
・グレンモーレンジィ オリジナル:45ml
・チョコレートリキュール:10ml
・アールグレイティー:15ml
・豆乳:10ml
・メープルシロップ:5ml

(ガーニッシュ)カカオパウダー:適量


材料をシェイクして、カクテルグラスに注ぐ。カカオパウダーを振りかける。

保志 綾 氏のオリジナルカクテル 「ポイトテーハ」のメイキング動画をご覧ください。

保志 綾(ほし あや)


2017年、弟の拓也さんと共に西麻布で「Bar Dealan-Dé」をオープン。4人姉弟の長女で、全員がお酒に関する仕事に就いている。グレンモーレンジィに対する愛と豊富な知識で、“モーレンジィ姫”と呼ばれるほど。いつかは造り手になることが夢。


Bar Dealan-Dé(ディランジ)

東京都港区西麻布3-13-20 HIDEビル3F
Tel 03-6432-9824

記事掲載元:BAR TIMES(https://www.bar-times.com/contents/83381/

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